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おいしい野菜の作り方
[第7回]キャベツ 2022年6月号

おいしい野菜の作り方

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DATA
  • キャベツ Cabbage
  • 科名:アブラナ科
  • 原産地:地中海沿岸
  • 生育適温:15~20℃
  • 発芽適温(地温):20~25℃

栽培カレンダー

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中間地の場合

害虫対策を徹底し、立派な結球を目指す!

食物繊維やビタミンC、胃粘膜によいとされるビタミンUを含む健康野菜。サラダや炒め物、煮込み料理など、幅広い料理に向く使い勝手のよさが魅力です。
害虫の被害にあいやすいので、育苗時からしっかりと対策を行うことが肝心。小さい球がびっしりつく芽キャベツも、キャベツと同じように栽培できるので、ぜひ挑戦してみましょう。

1. 品種選び

「寒玉系」「良質系」とは?

キャベツの一般的な品種を大きく分けると、葉がかたく、平滑で玉締まりのよい「寒玉系」と、葉がやわらかで玉締まりがやや緩く、葉面が波打っている「良質系」(春系、サワー系)に分けられます。寒玉系は、加熱調理すると甘みが増し、肉厚で煮崩れしにくいため、ロールキャベツや煮込み料理、焼きそばの具などに適しています。良質系は、みずみずしく甘みがあるため、サラダなど生食でも食べやすく、料理の付け合わせや和え物などにも適しています。食材としての用途の違いを考慮して品種選定をしましょう。

個性的な品種いろいろ

7月中旬〜8月中旬にタネをまく夏まきの栽培では、極早生から晩生まで収穫期の異なる品種を使い分けることによって10月下旬〜翌年4月上旬まで長期間収穫することが可能です。
一般的な品種以外に、抗酸化作用のあるアントシアニン色素を含む赤(紫)キャベツ ʻルビーボールSPʼ、食味のよい小型の ʻこのみ姫ʼ、日本では珍しいちりめんキャベツʻサボイエースSPʼなど、味と見た目を楽しめる個性的な品種もあります。

2. タネまき(育苗)

トレイやポットにタネをまく

育苗には128穴のセルトレイやポリポット(直径約9cm)を使用します。
「タキイ たねまき培土」などの清潔な培養土を用意し、事前に水を加えて混ぜ合わせ、手で握って塊ができる程度に湿らせておきます。セルトレイに培養土を詰め、1cm程度の深さに1~2粒タネをまきます。

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発芽、育苗に特化して開発された、「タキイ タネまき培土」。

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タネが小さいため、ひと粒ずつ簡単にタネまきできる「丸いタネ用 カリカリくん」などの器具を使うと便利。

温度管理、害虫対策を徹底

発芽適温は20~25℃で、夏季は高温による発芽不良を起こしやすいため、タネまき後1~2日は涼しい日陰に置き、その後、日当たりのよい場所に移動します。生育適温は15~20℃で冷涼な気温を好みます。盛夏の地面は、日中高温になるので、台などの上に置いて地面から浮かせます。また、苗を害虫から守るため、防虫ネットをトンネル状に張って侵入を防ぎます。

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キャベツの育苗。
温度の高い時期の育苗には、白いトレイが便利。

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様子を見て液肥を与える

タネまきから20~25日程度で本葉3~3.5枚に生育したころが移植適期です。育苗期間中に葉色が淡くなるなど、肥料切れの兆候が見られたら、規定量の液肥を与えます。また、移植直前にも液肥をかけておくと活着しやすくなります。
セルトレイで育苗した苗をそのまま露地に定植することもできますが、ポリポットに移植して本葉5~6枚程度まで育苗期間を延ばすこともできます。育苗期間を長くすることにより、露地で病虫害や風雨、干ばつなどにさらされる期間を短縮でき、欠株の発生を抑えられるメリットがあります。

3. 畑の準備

酸性土壌では矯正をする

湿害に弱いため、水のたまりやすい畑を避け、堆肥(1m2当たり2㎏)や緑肥を事前にすき込むなどして土壌の排水性を改善します。酸性土壌では根こぶ病の発生が多くなるため、植え付けの1~2週間前までに1m2当たり苦土石灰200gを散布して土壌酸度を矯正(pH6.5~7.0)します。また、カルシウムの要求度が高いので、カルシウムの補給を行います。

元肥を施してよく耕す

元肥は1m2当たりチッソ、リン酸、カリを成分量で各15~20g施用し、耕うんします。畝幅は60~65cm、畝の高さは10㎝程度、排水の悪い畑では15㎝程度の高畝にして湿害を防止します。

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4. 植え付け

事前の灌水で活着を促す

植え付けの直前、苗に十分灌水します。畝に株間30~35cm間隔の植え穴をあけ、植え穴にも水を注いでおきます。植え付けの深さは、胚軸(子葉の下)が埋まる程度にし、周囲の土を押し固めて苗の倒伏を防止します。
また、排水がよく乾燥しやすい畑では、平畝にして植え付けることで初期の水分を確保します。その後、中耕や土寄せの作業で株元に土を盛り上げることによって過乾燥に備えます。

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5. 追肥、土寄せ

適期に行って雑草抑制

植え付けから10~14日後、1回目の追肥を行います。1m2当たりチッソ、カリの成分量で各4~5g、通路に散布して中耕、土寄せします。中耕、土寄せを適期に行うと、雑草の生育を効率的に抑えられますが、遅れると繁茂するので注意します。

2回の追肥で結球を促す

1回目の追肥から10~14日後、外葉が生育し芯の部分の葉が立ち上がってきたころ、1回目と同量の追肥を行います。その後、外葉を傷つけないように注意して、肥料と土がよく混ざるように中耕します。

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植え付け
胚軸が埋まるくらいの深さで植え付ける。

6. 収穫

作型によって適期が違う

中間地の夏まきの作型では、早生系で10月下旬~11月中旬ごろ、中生系で11月中旬~12月下旬ごろ、晩抽性と耐寒性を備えた中晩性や晩生種では12月上旬~翌年4月上旬ごろまで収穫が可能です。

手で押さえて確かめる

結球を上から押さえて、かたく締まっていれば収穫適期です。地際の茎は太くてかたいので、結球を斜めに倒し、外葉を押し広げて結球の下部で切断します。

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    結球開始期の様子。外葉を大きく育てることが、立派なキャベツを収穫するコツ。

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    収穫したキャベツとその断面。

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    収穫
    外葉を片手で押し広げ、株元に包丁を当てて切る。

マネしたい!プロのワザ

収穫包丁が便利!

キャベツの収穫には、先端部分に丸みを帯びた突き切り刃がついている収穫包丁がおすすめ。体重を乗せて切ることができ、手首に負担をかけずに楽に切ることができます。突き切り刃の部分で外葉の付け根を切り落とすと、茎の切断する部分が見えやすくなります。

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腰下げタイプの鞘があると便利。包丁の紛失も防げる。

[Let’s try!]芽キャベツを作ってみよう

どんな野菜?

芽キャベツは、わき芽が結球してミニサイズのキャベツのようになるユニークな作物で、12月〜翌年2月ごろまで連続収穫が可能です。キャベツに比べてビタミンCを多く含み、ソテーやグリルのほか、煮物や温サラダなどに広く使える食材です。

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1. 育苗、植え付け

育苗方法はキャベツのポット育苗と同じです。茎が60cmほど伸び上がり、倒伏しやすいため、植え付け時に本葉3枚目の基部まで埋まるように深植えして周囲をしっかり押さえます。摘葉や収穫作業のスペースを確保するため、キャベツより幅広く間隔をとって(畝幅約1m、株間約50cm)、植え付けます。

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追肥、土寄せ
追肥後、株元に土寄せする。

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生育中の芽キャベツ。写真は9月下旬。

2. 追肥、中耕、土寄せ

植え付け後の追肥、中耕、土寄せもキャベツと同様に行います。茎葉を大きく育てるほど結球数が増えてたくさん収穫できます。台風などの強風で倒伏すると、地面についた結球に黒腐病などが発生して収穫量が減るので、傾く側に支柱を立てて支える方法もあります。
12月ごろから低温によってわき芽の結球が始まりますが、地際付近の不良結球は早めに取り除いておきます。

3. 摘葉、収穫

結球が直径2.5~3cmに肥大したら、先に直下の葉を折り取ってから球をもぎ取り、順次上に向かって収穫を進めていきます。
球を茎つきで収穫する場合は、肥大した部分まで葉を折り進め、頂部付近まで至った所で株ごと収穫します。いきなり葉の付け根から折り取ると球が一緒に取れてしまうことがあるので、葉柄を5~6cmほど残して折り取り、褐変して離層ができてから取り除くとダメージが最小限で済みます。

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支柱立て
倒伏しそうな株を見つけたら、支柱を立てて支える。

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収穫
指で下に押すようにしてもぎ取る。下の方の不良球(形の悪いもの)は早めに取り除く。

栽培カレンダー

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中間地の場合

[キャベツ・芽キャベツ共通]こんな病害虫に注意!

夏まきの栽培では育苗期から収穫の始まる秋にかけて蝶目害虫(アオムシ、コナガ、ハスモンヨトウ、カブラヤガなど)の防除対策が必須。しっかり対策をしましょう。

対策① 防虫ネットで侵入を防ぐ

薬剤防除に頼らない場合は、防虫ネットをトンネル掛けして保護します。ただし、害虫が植え付け前から土中に潜んでいたり、すき間から潜り込んだり、ネットに接している部分の葉に卵が産み付けられたりすることもあります。被害程度はかなり軽減されますが、食痕やふんがないかなど、防虫ネットの中をよく観察し、害虫を見つけ次第、捕殺します。

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防虫ネットでの対策。写真は芽キャベツ。

対策② 適用のある農薬で防除

農薬の使用に抵抗がなければ、登録農薬で発生初期に防除します。キャベツ類の葉は水をはじく性質が強いので、噴霧する場合には適用のある、展着剤の中でも、作物の内部に浸み込ませる機能(浸透性)を併せもつ機能性展着剤を使うと、より高い効果が期待できます。

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水のみでは、はじいてしまうが、一般の展着剤を加えると葉面にやや浸透しやすくなる。機能性展着剤は浸透性や浸達性が強化されて乾きが早く、薬剤による汚れも目立ちにくい。

プロ農家も注目する品種は?

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    ミニ
    このみ姫

    球重600~800gの良質丸玉ミニキャベツ。栽培しやすく、初めて作る方におすすめ。極早生。

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    赤キャベツ
    ルビーボールSP

    赤(紫)キャベツの代表種。彩りが美しく、サラダや酢漬けに好適。極早生。

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    極早生
    初秋

    やわらかい肉質。高温結球性に優れた家庭菜園のロングセラー品種。寒玉系。

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    中生
    冬甘月

    甘みが強く、肥大性に優れる。結球後の裂球が遅く、収穫適期が広い。寒玉系。

タキイネット通販でご購入いただけます


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渥美 治久(あつみ はるひさ)

種苗会社で野菜の育種、栽培技術指導業務に約30年間携わり、ニンジンなどの主力品種開発に貢献。退社後、静岡県浜松市で「恵み一色ファーム」設立。認定農業者として露地野菜20品目以上を生産。小学校の食育など地域活動にも貢献。

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